2012年9月28日金曜日

中小企業版Facebookとは一体何者?

本日、2012年9月28日の日刊工業新聞の一面トップの

「中小版”フェイスブック”」という何やら巨大な見出しが目に飛び込んできたので、本日のトピックをこちらでございます。

だいたいにおいて専門紙でこの手の見出しがあると、おそらく国というか官主導だろうなというのが大方のところですが、こちらも例外ではございません。

実際、記事の冒頭にも

「国が企画、管理する”中小企業版フェイスブック”が2013年初めにもスタートする」

とありますが、まずこの冒頭の文面から違和感を感じました。
というか、結論から言うと見出しの”フェイスブック”が記事の内容に対してミスリーディングに思いました。



通常、フェイスブックを代名詞的に使うのであれば、それはおそらく”ソーシャルメディア”という意味ではないかと思います。そうすると、国が管理するソーシャルメディア??なんでしょうか。

まあ、でも記事を読み進めましょう。私が理解した範囲ではポイントは4つほどかと。

1)全国の中小企業約100万社と経営支援を行なっている1万人が相互に交流できる

2)経営支援機構、弁理士、弁護士、金融機関とのマッチングをはかり適切に相談を受けることができる、

3)国や地方の政策情報も提供したり、バラバラの各種申請窓口をワンストップにするんだそうです。

4)さらに中小企業庁としては経営支援機関や専門家を格付けする制度導入も考えているようですが、その評価方法をめぐって慎重な意見も・・・とか。

別にケチをつけるために記事を読んでいたわけではないのですが、やっぱり違和感とツッコミどころが満載な気がしました。

まず、”フェイスブック”と言いながらソーシャルな感じがするのは、1)のみ。さらに、これにも疑問がありますが、それは後ほど。

2)については、これまでもやってきたマッチング事業を何とかこのシステムに載っけようととしているだけのような気がします。さらに、この機能をのせることで、かえってこのシステムの狙いがわからなくなっている気がします。

3)についてはそもそもこの枠にいれる必要があるのかな。その前にポータルとして使えるものを作ることができるのか・・・ってことが先のような気がします。

4)格付けが慎重・・・ってありますが、これって誰か「権威」なみなさんが、スポーツ競技のジャッジみたいに点数でもつけるのでしょうか。それとも、実際にサービスを活用した企業や人がAmazonとかヤフオクみたいな形でコメントと点数をつけるのでしょうか。

これについては、「客観評価の手法をめぐり慎重な意見も」といっている間は動かないような気がします。それに、支援機関等組織の評価はともかく、もし個人のコーディネーターの評価となると難しいかも。実際コーディネーターには大企業等を引退された年代の方が中心で評価もされ慣れていないでしょう・・・。

さて、肝心なソーシャルなところですが、このシステムの場合主体が企業になってしまっていることが気になります。そもそも、ソーシャルメディアは個人が主体だろうと私は思っています。少なくともそうでなくては、相互に交流できる活発なコミュニケーションが発生するとも思いません。

もっとも、ソーシャルメディアのリテラシーに長けた中小企業関係者はすでに、FacebookやTwitterも十二分に活用したいでしょう。仮のこのプラットフォーム上でソーシャルな交流ができたとしても、結局活用する人たちは同じになるのではないかと・・・。

さらに、記事中のイメージ図を見てみると、どうも相互交流ができるようには見えません。あくまでも中小規模のなやめる企業が質問を投げ込むと、それに対して登録された専門家や先輩経営者が答える図式です。どこかで見たことがあるような・・・。民間でいうところのAll about Profileとか、ドリームゲートな感じですかね。

これって、ソーシャルな交流っていうより、従来のコーディネーター制度を推進するために、新しい仕組みを作ろうとしか読み解けないのです。少なくとも、このチャートからも記事からも、中小企業関係者同士のソーシャルな交流が見えてきません。

個別の取り組み自体には、それぞれ意義はあると思うし、例えば経営者の疑問に対して、All About Profileみたいな形で専門家が答えるという仕組みが中小製造業向けに特化してあっても良いとは思います。特に自分の地域のコーディネーターや専門家だけでなく、他地域の専門家と接触することができるのであれば、それはそれで意味があるでしょう。

ただ、今回の記事をみている限り、”フェイスブック”というソーシャルメディアを代表するような言葉をこの仕組みに当てはめるのは、かなりミスリーディングな気がしました。

参考:http://www.nikkan.co.jp/news/nkx1520120928aaan.html
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